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CONCEPT -Think&Talk-|学び続け、進化し続けるビジネスマンに向けて、さまざまな業界のトップリーダー たちと仕事観を語らう。

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人生はもっと自由で楽しくていい―加藤百合子さん

【最終話】私のHappyの根源は、自分の食べるものを自分で手に入れられたこと
2018年05月24日
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地に足が着いたと心から感じられた安心感。その心の豊かさの中で生きていく人の安定感、奥深さというものを
お話の端々で感じます。最終話「私のHappyの根源は、自分の食べるものを自分で手に入れられたこと」
どうぞお楽しみください。

加藤百合子

株式会社エムスクエア・ラボ 代表取締役 加藤 百合子さん

HP:https://www.m2-labo.jp/about-us

-Profile-


千葉県生まれ。慶應義塾女子高校を経て、東京大学農学部1998年卒。英国 Cranfield University, Precision Farmingの分野で修士号を取得。2000年にはNASA のプロジェクトに参画し、翌年帰国。キヤノン(株)、産業用機械の開発企業に勤 務、R&Dリーダーを務めた。2009年に当社を創業。2011年日本政策投資銀行 第 一回女性ビジネスプランコンペティションにて大賞受賞 持続可能な社会を目指し、 迷いながらも、地域や社員と一緒にブレることなく進んでいきたい。専門分野は、 地域事業開発、農業ロボット、数値解析。

 

#1 3度の受験と3度の転職で見つけた世界
#2 女性だし、よそ者だけれど、それが私の最大の強みです。
#3 転機は、スーツを脱いでジーパンでタメグチで飛び込んだこと。
#4 私のHappyの根源は、自分の食べるものを自分で手に入れられたこと

時間やお金人付き合いのこだわりはありますか?

時間はシビアです。基本2次会は行きません。今はもう時間泥棒的な訪問はお断りしています。お話を聞かせてくださいというアポには「講演にいらしてください」とお願いしています。

ちなみに、受ける受けないの基準は何ですか?

基本、農業者からの依頼は受けます。そしてコンサル会社の依頼は受けません。話すことで彼らのヒントになる確率が高い人からの依頼を優先するようにしてます。

とてもわかりやすいです。ありがとうございます。
お金の使い方へのこだわりはありますか?

「きちっと払う」です。協力して下さる方も多いので、その方たちに少しでも謝礼を払い、その場その場で完結させるようにしています。そのほうが互いに緊張感を持って仕事ができますから。

人付き合いはいかがですか?

徹底して、好きな人としか付き合わないです(笑)。嫌いな人とはお付き合いしません。

嫌いな方っていらっしゃいますか?

嫌いな人というより、利用しようとする人たちが出てくるので、線引きはしています。社員は私を慕って、新しいことをしたくて来てくれているので大事にしていますし、協力者や個人事業主の方たち、、、と私の中には序列があります。

その序列を教えてください。

1番は家族です。次に社員、そして協力してくれていた方たち、の順ですね。初期に協力してくれていた方たちというのはとても大切で、その方たちからの依頼は何でも受けています。

ありがとうございます。優先順位の付け方はどうされていますか?

それはいろいろありますが、やはり楽しいことでしょうか。自分だけではなくて、みんなが楽しくなることをずっとやっていたいから、この優先順位が高いです。規模拡大すると、どうしてもその優先順位が下がってきてしまいます。今、いろいろと事業に核ができてきた段階で、0→1は私の仕事なのだけれど、それを100にするのは次の社長の仕事かなと思っています。

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それは、いずれ事業を譲るというご計画ですか?

はい、譲る計画です。タイミングまではわかりませんが、エムスクエアラボは基本的に個人事業で、分析解析業務をしていくつもりですし、やさいバスのような実業事業は、何年かしたら誰かに譲ろうと思います。

なるほど、常に0→1をやって、それを次々と渡していく感じでしょうか?

そうです。

すごく憧れます。お聞きしているだけでワクワクします。
では子育てにおいての優先順位を教えてください。

「健康が1番」です。ですから食べ物は妥協しません。全てバランスが大事だと思っています。コンビニで買うのは確かに簡単ですが、なるべく食べさせない。お弁当も冷凍食品は使わずに毎日朝から作ります。

本当に尊敬します。
優秀なビジネスマンは何が違うと思いますか?

みなさんやはり仕事を楽しんでいると思います。

ではリーダーになる条件は何があると思われますか?

軸がきちんと持てる人であれば誰でもいいのではないでしょうか。いろいろなノウハウ本はありますが、そんなノウハウは後からでも付いてくるので、まずは軸がきちっと入っているかどうかじゃないでしょうか。それがないようなら、そもそもリーダーには向いていないと思います。

迷うことはありますか?迷ったらどう選びますか?

はい、毎日判断を求められるから、事業で言えば、持続可能な社会を目指しているので、持続可能性に照らして、どちらをとるか選びます。細かいところでいうと、さっき話した大事な人がHappyになるかどうかで判断します。例えば、事務所も「優遇するから○○市に来て下さい。」と言われることもありますが、家族やスタッフがそれでHappyになるかで考えます。

スタッフはみなさん菊川の方ですか?

スタッフのほとんどが関東から来た移住組みです。大企業を辞めてきた人もいます。静岡出身は1名だけですね。

ちなみに加藤家が菊川にいらっしゃる理由は何ですか?

まずは、義父の会社があったからですね。私たち家族も、浜松市や静岡市に引っ越そうかと言う話は何年かに1回は出ていたのですが、この菊川という土地はとても面白くて、とても便利なのですよ。高速のインターがあり、一駅行けば新幹線も通っていて、交通の便がいい。でも土地は安いしのんびりしていて、俺が俺がと主張してくる人もいない。この辺りの人たちは温和で誰もバッシングもしなければ、いじめもありません。ホントここを選んだおじいちゃんに感謝です。
「しがらみを作らない」という事業モデルにおいて、ここはベストチョイスでした。

お話を聞けば聞くほど、私はどっぷり東京にいるなあと感じます(笑)

私たち東京を魔界って呼んでます(笑)こちらから東京を見ると、「みんな大変そうだね~」って。でもそれも中に居るときは全然わかりませんでした。
みんな「なんでそんな田舎に?」って言うのですが、こっちに来て良かったです。本当に地に足が付いたと思えたのは農業事業をやってからです。なぜかというと、自分で食べ物を作れる自信です。幼い頃から漠然と持っていた、食べ物に関する不安が解消されて、生存の自信を手に入れたことが何よりもHappyです。

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それに関して私はすごいコンプレックスがあります。

本当に?

私は何もできないなと思っていて、例えば、2018年に生きている私が、1000年前にタイムスリップしたら、未来から来た人として何か教えてあげられるはずなのに、教えられることが何にもないなって。

なるほど。根本的に生きていくことに対してね。

普遍的なことについては学んでいる自信がありますが、家も作れなければ、野菜も作れない。米も作れない。牛を殺せない。自分では何も食べれない。着る服すら作れない。と思っています。

私のHappyはどこから来ているのかと振り返ったときに、「根本はそこだ」とわかった衝撃はとても大きかった。食べるものを自分で手に入れたんだなと。

これが加藤さんにとっての幸せですね。
座右の銘はありますか?

福沢諭吉先生の「天は人の上に人を造らず 人の下に人を造らず」です。
但し、努力していればね。

疲れたりへこんだりすることはありますか?

ありますね。へこむのはやはり人を切るときですね。あれは心が疲弊します。
疲れるのは出張が続くことですね。去年の11月に移動ばかりで、ほとんど静岡に居ませんでした。合間合間に帰ってきてはお弁当を作ったりしていましたが、あの期間はいつ何をしていたかが思い出せないくらいでした。疲れるというのはどちらかというと移動とかの体力的な面ですね。

ちなみに体力づくりのための何かをされていますか?

特に何にもしてないですね。一応筋トレとストレッチはしていますが、それはどちらかと言うと体力を付けるためと言うよりは、ぷよぷよにならないための予防ですね(笑)
自宅で一人で、階段使って踏み台昇降とかしています。

すごいですね。やはり意思が強い。私にはできないです。
へこんだりするときに立ち直るためにすることはありますか?

私は超楽天家かもしれないのですが、しばらくすると忘れてしまう。忙しいからかもしれませんが、嫌なことは見事に忘れてしまう。ちなみに思い出すら忘れてしまいます(笑)
誰と見た映画かわからないとかね。

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わかります。私も初めて来た店だと思っていたら以前来たことのあるお店だったりしますね(笑)

そうです。全然覚えていません。

生き抜くためには大事なことですよね。とっておきの場所があれば教えてください。

いいアイデアが浮かぶのはキッチンで手を動かしているときです。
外では、菊川市を上から見下ろせる高台があるのですが、そこを通るときはちょっと止まってみたりしますね。短い時間ですが、いい景色だな~とリフレッシュできます。

今読んでいる本に「自然と触れ合うとアイデアが浮かぶし、リラックスでき、より生産性があがる」という内容で、月に5時間そんな時間を過ごすとよいと書いてあるのですが、都心に居ると下手すると月に5時間というのは難しいわけですよ。ここに来るとそれはないですね。都心にはそういった不具合がありますね。
ところで、ご趣味はありますか?

趣味は、今は仕事ですね。あとは子どもとの会話です。これは面白いです。

加藤さんの生き方は子育てをしていく上でも、いろいろと考えさせられます。自然の多い場所で子育てをしたいという思いはあるのですが、東京で育って、菊川で子育てをされている加藤さんは率直にどう思われますか?

田舎と都会、それもひとつの選択肢ですが、小学校くらいまでは、想像力を描き立てる場に居たほうがいいと思っています。田舎には自然そのものがあります。都会の人工物に囲まれていると想像力が育たないというのは、サイエンス系の科学者の多くが危惧しています。与えられたもので作ろうというロボット教室もあるけれども、ロボット教室の前にそもそも自然に落ちている落ち葉や木を見て、そこから描き立てられる想像力でものづくりをしようという気持ちをはぐくむほうがいいと思っています。

それは、加藤さんは意識されて場をセッティングされていましたか?

インドア派の夫の代わり(笑)、よく外には連れて行っていました。意識的にしていましたね。

勉強になります。ありがとうございました。

(撮影協力 本多佳子)

#1 3度の受験と3度の転職で見つけた世界
#2 女性だし、よそ者だけれど、それが私の最大の強みです。
#3 転機は、スーツを脱いでジーパンでタメグチで飛び込んだこと。
#4 私のHappyの根源は、自分の食べるものを自分で手に入れられたこと