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CONCEPT -Think&Talk-|学び続け、進化し続けるビジネスマンに向けて、さまざまな業界のトップリーダー たちと仕事観を語らう。

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ドキドキの怖さをワクワクに変える―井上 博登さん

【第2話】「死に物狂いで働いた2年間」
2019年09月12日
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井上さんの仕事への取り組み方、表には出さない影の努力、素直にすごいなーと思います。就職されてからご自身の会社を立ち上げられるまでについてお聞きしました。企業で働く方にも、これから起業される方にも役に立つお話ばかりです。第2話お楽しみください。

井上博登

株式会社スターネクスト
代表取締役社長

井上 博登さん

HP:http://www.star-next.co.jp/

 

1984年8月生まれ。 東京都出身、立正大学経済学部中退。光通信系の企業に営業職として入社。社内最速で管理職(マネージャー)に就任。その後、株式会社サイバースターにて美容系メディアの営業部部長に就任。株式会社サイバースターは、東証一部上場の株式会社アイスタイルに買収された後、株式会社アイスタイルにてソリューション営業部部長、サービス開発部部長に就任。2013年2月に株式会社スターネクストを設立、代表取締役に就任。

 

大学を辞めて、どうされたのですか?

 

母ちゃんを喜ばせたいという思いがあったのですが、結局は大学も続きませんでした。このままではさすがにまずいと思い、地元で就職することにしました。ネクタイを締めて、ちゃんと職に就けば、母ちゃんを安心させられるんじゃないかと思ったのです。地元の友達とタウン誌を見て、就職先を探しました。そこで見つけた光通信系の営業会社に面接を受けに行き、就職しました。そこが何の仕事をする会社かも知らずに面接を受けに行きました。

 

そこはどういう企業だったのですか?

 

今でいうブラック企業だったのかもしれません。他に職業経験もありませんでしたので、当時はそれがブラックだという認識はなかったのです。が、少々強引に契約を取るやり方でしたので、会社には苦情もありましたし、内容証明が届くこともありました。客先で警察を呼ばれたこともありました。

 

えっ?「早く帰ってください」ということですか?

 

そうです。けれど、私からしたら、警察よりも手ぶらで会社に帰る方がこわかったのです。

 

すごい会社ですね。その営業はテレアポですか?テレアポをして、アポイントを取れた客先に訪問するということですか?

 

そうです。

 

では、突然お伺いするわけではないのですね。
でもこういっては失礼ですが随分ハードな営業だったのですね。このハードな営業をどのくらい続けられたのですか?


営業自体は2年です。

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2年もですか?それはすごいですね。2年もつ方はなかなかいらっしゃらないんじゃないですか?

 

入社半年で役職が付き、1年で管理職になりました。この時期人一倍努力しました。この2年間は毎日家でもどこでも、ずっとロープレをしていました。テレアポのロープレや、営業のロープレをしていました。
その当時の彼女とは、テレアポの相手役をしてもらったりしました。声が小さいとか、低いとか。電話越しでないとわからないことを教えてもらっていました。声を高くすることはできなかったので、少しでも聞き取り易くするために、ゆっくり大きく喋るなど地道な努力をしていました。

 

彼女相手に電話でテレアポのロープレをされるなんて本当に熱心ですね。

 

アメとムチの会社で、アメは飲み会やキャバクラでした。就業後よく皆で飲みに行ったりしていましたが、飲み会が終わった後も会社に戻り、次の日の準備を徹底的にし、それこそみんなが寝ているときに働いているってくらい、全力でした。それを2年間毎日続け、3年目に入ってようやくその土台で仕事ができるようになったのです。先人が「3年」と言うのはそういう事なんだと。2年間、死にもの狂いでやって、トータル3年という期間で見たらようやく一人前になれたのです。その2年間は地元に居たのに、ほぼ遊ばなかったです。そうしたら、その結果は出ましたね。

 

そうですね。私も2年間走り切った経験があるのでよくわかります。
私も転職後2年は友達と食事にすら行けませんでした。場所は違えども、みんな戦ってきているのですね。
営業の方は何名くらいいらっしゃったのですか?

 

その当時は120人前後です。

 

そこでトップの成績ですよね。

 

その経験と結果が今の「自信」になっています。もし今、この会社で何か金銭面で問題が起こったとしても、自分で外に出て仕事を取ってくる覚悟や自信は備わっています。

 

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仕事を取ってくるのは自信がないと難しいですね。その後、どうされたのですか?

 

「これからはネットの時代だ」ということで、3年目にネット広告の会社の代理店を任されたのです。私は責任者です。サイバースターというエステやネイルサロンなどの口コミサイトをしている会社の代理店となったのです。そこで年間記録などを打ち立てたので、サイバースターの役員から声を掛けていただいて転職しました。

起業されたのはその後ですか?

 

そうです。最初に働いた会社の社長も、サイバースターの社長もとても尊敬していますし感謝しています。サイバースターの社長が、今の私のベースを作ってくれました。その方は実は若くして亡くなられたのです。その後会社がガタガタになりました。取締役4名と部長4名で、この会社を誰が継ぐのかを決めなければなりませんでした。

どの方も基本大好きだったのです。もちろん意見が合わない人も居ましたが、それでも同じベクトルを持ち、同じように進む、多少のいざこざはあっても、やりたいことは同じで、そのいざこざを含めて好きだったのです。それが、経営を誰が引き継ぐのかという問題と直面すると話は別でした。そういう事を学ばせてもらいました。その当時、考え過ぎて電車の中で過呼吸になったくらいです。それ以来電車が苦手で10年くらい乗っていません。

 

それは大変なご経験でしたね。

 

そして買収されることとなったのですが、その会社もとてもいい会社で感謝しています。ですがどこか満たされない思いがあったのです。里子に出されたような感覚。この感情は買収されたご経験がある方には共感いただけるのではないかな。私はまだまだできるのに、やり切っていないのに、どこか「負け」の烙印を押されたように感じてしまったのです。相手方は全くそんなことを思ってないのに、自分がそう感じてしまいました。そこからだいぶ遅めの反抗期がやってきたのです。社会人としての反抗期です。

こんなに悩むくらいなら、自分で会社を続けようと思い、スターネクストを立ち上げたのです。サイバースターの続きをやろうと思い、「スターネクスト」です。

 

想いのこもった社名ですね。
営業からネット広告、口コミサイト、IT企業へということですね。今はどのようなお仕事がメインなのですか?

 

今はホームページ制作やシステム、病院の電子カルテなどです。立ち上げ期にはしんどい時期もありましたが、今はおかげ様でお客様にも恵まれています。

 


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この仕事を井上さんがされる社会的意義はありますか?

 

自分がやる意味ですか。そんな大それたことを考えて独立したわけではありません。目指したのは、税金をちゃんと納める企業です。震災や災害が各地でおこり、そのたびに募金活動などがされていますが、私の今の感覚では、この会社を大きくすることに社会的意義があると思っています。そうすることによって法人税を払い、他にもいろいろな税金を払っています。それってものすごく大事なことだと思います。

 

完全に合意します。その場の小銭ではなく、人生や仕事そのものが社会貢献ですよね。

 

はい、募金も大事ですが、私はこの会社を少しでも前進させることが、貢献だと思っています。こんな小さな会社で、たかが知れていると思われるかもしれませんが、私はこういう貢献をしたいのです。小さいですがね。

 

いえいえ、その集合体が日本ですから。そのお考えに賛同しますし、実際に経営されていて尊敬します。
仕事をする中でこだわっていることは何ですか?

 

こだわっていることは、嫌なことはやらない!です。

 

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いいですね。

 

嫌なこともやらなければいけないときは当然ありますが、やらなくていいならばやりません。

 

例えば?

 

相手が気に入らないとか(笑)。そういう相手とは互いに全てが進みません。会社のためにも相手のためにもならないから付き合いません。

 

よくわかります。互いの為になりませんね。
ありがとうございます。

 

撮影協力 本多佳子