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CONCEPT -Think&Talk-|学び続け、進化し続けるビジネスマンに向けて、さまざまな業界のトップリーダー たちと仕事観を語らう。

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目の前の人を喜ばせることに情熱をかたむけた人生―小成富貴子さん

【第3話】これからは女性のアレンジ能力が求められる時代
2018年10月18日

人生の転換期、これからをより彩りあるものにするために、一旦立ち止まる。
 同じ女性として、自分の身に置き換えて考えさせられる最終話です。どうぞお楽しみください。

小成富貴子

有限会社ミネルバカンパニー
代表取締役

小成富貴子さん

-Profile-


1989年上智大学外国語学部イスパニア語学科卒
大学在学中1年間マドリッド自治大学外国人コースに留学。大学卒業後23歳で結婚。22年間、家事、家業、子育てと家族のために尽くす。
2011年日本で唯一スペイン商材に特化した輸入セレクトショップ「アイレ」を表参道に開店。2017年に実店舗は閉店。現在はオンラインストアのみ継続中。
スペイン文化を日本に紹介する一方、着物や和食など、日本文化をスペインに広める活動にも力を注ぐ。
また、二人の息子たちのユニークな子育て法が話題となり、2017年3月19日に初の著書『究極の育て方』を出版。
現在、クリニック経営、眼鏡店経営、スペイン商材輸入、セレクトショップ運営、スペイン料理講師、スペインワイン講師、グローバル教育講師など多方面で活躍中。ミッフィーの愛称で親しまれる。

著書:KKベストセラーズ
「イェール+東大、国立医学部に2人息子を合格させた母が考える 究極の育て方」
共著:誠文堂新光社
「バスク料理大全」

 

#1 一枚のチラシから変わり始めた人生
#2 業界で私が素人であることが私の一番の強み
#3 人これからは女性のアレンジ能力が求められる時代

時間、お金、人付き合いに対するこだわりはありますか?

時は金なり主義です。ですから主人が呆れるほどタクシーも乱用します(笑)。時間は24時間が全員に与えられていますが、端折れるところは端折って、できる限り有効に活用したいです。
お金はどこかから必ず湧いてくる人生でしたので、あまり貯金に熱心じゃなくて。そこもまた主人によく怒られています(笑)。人付き合いに関しては、周りの人が喜んでくれる姿を見るのが好きなので、その人にピッタリのプレゼントを準備したり、その人が好きな色の服を着たりとか、そうやって相手のことを考えて行動しています。結果的に、クリニックでも、怒り爆発している患者様や、おそろしく不機嫌だった患者様が、私のファンになってくださいます。昔クリニックの仕事に没頭していた頃、書きたいなと思っていた本がありまして。タイトルは「そして、みんな私を好きになる」でした。向こうを向いている人をこっちに向かせる技についての本です。

なぜみんな好きになるのですか?

好きにさせるのです。居心地いいなと思ってもらうようなことをするのが好きです。その方の気持ちに寄り添い続けていると、最終的に私という存在を好きになってくださる体験をたくさんさせていただきました。

すごい能力ですね。優先順位の付け方はどうですか?

家族が一番です。家族を優先するので、自分のやりたいことはいつも後回しです。

本当にいつもご家族に尽くしているお姿、尊敬します。
できるビジネスマンはどういう人だと思いますか?

できるビジネスマンは、本気で謝罪できる方です。必要な時に必要な謝罪ができる方はできるリーダーではないかと思います。

こういった方はあまりいらっしゃいませんか?

今までの体験では事業の中や、一顧客として何か不具合があるときに、素直に謝れない方が多いなと思います。実はこの家を建てたとき、建築の先生がミスをされたのですが、その時、すぐに誠心誠意謝ってくださったのです。やはりできる人というのは、こういう潔さが違うのだなと思いました。

それはなぜ謝れる人と謝れない人がいると思われますか?

自分に自信がないからじゃないかな。自分の仕事に誇りを持って臨んでいると、間違ってしまった時に素直に謝罪できるように思います。

なるほど、そうかもしれませんね。迷ったらどう選びますか?

基本的にあまり迷うことがないのですが、誰かが喜ぶほうを選びます。

誰かって誰ですか?

誰でもいいです。目の前にいる相手です。

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では例えば、二人いて、この二人の意見が違う時はどちらをとりますか?
ご長男がプールに行きたい、ご次男が遊園地に行きたいと言ったら、どうされるのですか?

それは、自分がその時、大事にしている方を優先しますね。その時の感覚です。

感覚ですか。お母様らしい選択なのでしょうね。
小成さんにとって幸せとは何ですか?

難しい質問ですね。結局、周りが気持ちよく過ごせていることなのかなと思います。周りというのは家族やスタッフ、そして患者様です。少なくとも今まではそう思って生きてきました。
けれども、最近それだけでは満足を感じなくなってきました。主人が喜んで診療をのびのびとやって、家でゆっくりとしてくれることが幸せだったのですが、それはやり切った感じですね。今は人生の転換期なのかもしれません。

それ以上に自分らしく生きたいと思われたのですか?

そうですね。最近は人生で初めて「自分が輝きたい」と思い始めました。

本当に素敵なことだと思います。
座右の銘はありますか?

「求めよ、さらば与えられん」
「ピンチはチャンス」
「クレームはご馳走」
「女性は同時にいくつものプロジェクトを進める才能がある」

どれも、そうだな~と思います。4つ目のお言葉は女性スタッフが多いからですか?

この言葉は、中学の頃に校長先生に言われたのです。男性は打ち込むと、ものすごい集中力ですが、それしか見えなくなります。けれど女性は、子どもの面倒を見ながら、夕飯をつくり、先々の計画までも同時進行でやることができる。このお話を聞いたときに面白いなと思いました。これからの時代は女性のアレンジ能力が求められていると感じました。それをいつも意識しています。「今これをしているから、こっちはできない」とは言いたくないですね。

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疲れたり、へこんだりするときはありますか?

今まであまり大きくへこむということがありませんでした。
去年の秋に51歳になり、100年人生を折り返したのだなとこの先について真剣に考えるようになりました。残りの人生で自分が輝く道はなんだろうと模索する中で、色々な障害が現れたりして、へこんでいることが多くなりました。

そんなとき、どういうスイッチを入れるのですか?

私は花を活けたり、庭を手入れしたりするのが好きなので、そういう時間を取ります。植物は手をかけただけ応えてくれます。生き生きとしている花や葉っぱを見ると、その生命力から元気をもらって嬉しくなります。
料理も好きです。料理をすると気分がスッキリしますし、美味しいものをいただくと元気が出ますね。

本当に素敵なお庭ですものね。
ご趣味も含め、時間を何に使われていますか?

子育てをしながら仕事に夢中になっていた頃は、すごく忙しかったです。でもその合間を縫って、5分でも10分でも勉強する時間をとるように心がけていました。よくラジオを聞いて勉強しましたよ。毎朝、英会話から始まり、ドイツ語、中国語、フランス語など6時から8時までラジオを聞きながら、お弁当を作って、朝ご飯を食べさせていました。

なぜ、そんなに語学を習得する努力をされてきたのですか?

語学を勉強するという目的だけではなくて、自分の中に知識が蓄積されていくことが楽しかったですね。それから、数学を解くもの好きでした。子ども達の問題を写して一緒に考えるのが面白かったです。

数学のどんなところが好きなのですか?

解けたときの快感ですね。何の方程式をどういう風に使ったらうまくいくのだろうと考えるのが好きでした。
物を作るのも好きです。小さい頃はメリーゴーランドを作りたいと真剣に取り組んだこともありました。レバーを回すと歯車が回り、その歯車が、違う歯車を回し、それに連動してまた違う歯車が回り、最終的に馬が上下するという動きを作ってみたくて仕方なかったです。

自分に全くない部分なので新鮮です。実際にチャレンジされたのですか?

図面を紙に書いてみたりしましたが、その頃は歯車が実際にどうなっているのかもわからず、父もそういったことが得意ではなかったので、考えるまでしかできませんでした。私は建築も好きですし、構造も好きなので、本当は理工学部に行った方が良かったのではないかと思います。語学を学びましたが、語学はあくまでも伝える手段ですから。

今からぜひやってみてほしいです。
今、こんな事をしている時が楽しい!というのはどんな時ですか?

今、好きでやっていることはホームパーティです。私がプロデュースしているこの空間で、私の作ったものを美味しいと食べてくれるお友達の笑顔を見るのはとても幸せです。

この状態をキープされているのがすごいですね。わたしだったら、庭なんて、すぐに枯らしてしまうと思います(笑)

スペインにしばらく行っていたりすると、庭は枯れてしまうことがあります。ブドウは毎年1房だけなのですが、今年は13房もなっています。庭の管理は大変ですが、手をかけると確実に答えてくれます。今はそれが楽しみになってきました。

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何か育てるのがお好きなのでしょうね。子育ても、スタッフも、植物も。

そうかもしれないですね。育てることに向いているのかもしれません。
先日あるセミナーで「自分の寿命があと10年だとすると、今と同じ人生を歩みますか」と聞かれたのですが、私の答えは「はい」でした。あと10年だとしたら、今のままで何の後悔もありません。祖父母や両親、主人に子供達、みんなを幸せにして、やるべきことをやりました。
けれど、あと50年あると思うから悩んでいるのだと思います。

その考え方はとても共感できます。わたしもあと50年働くと思うと悩みますね。

これからは私の強みを生かし、私だからこそ成し遂げられるライフワークを見つけ、成功を目指して努力し、自分自身が納得しながらキラキラ輝ける道を歩んでみたいと思っています。先日家族で話している時に主人がヒントをくれて、ようやく明るい未来が見え始めました。一度深い深い底まで落ちて、緩やかに浮上しつつある感じです。
実は今いくつかのプロジェクトを企画し、実現に向けて活動中です。成功すればスペインと日本の両国への貢献に繋がると信じています。
今までは、目の前の人の笑顔や成功が私の喜びでしたが、これからの人生は自分自身のことも喜ばせていきたいと思っています。

それだけ、本当に人のために尽くしてこられたのですね。心から尊敬します。小成さんご自身のご活躍を楽しみにしています。

撮影協力 本多佳子)



#1 一枚のチラシから変わり始めた人生
#2 業界で私が素人であることが私の一番の強み
#3 人これからは女性のアレンジ能力が求められる時代