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CONCEPT -Think&Talk-|学び続け、進化し続けるビジネスマンに向けて、さまざまな業界のトップリーダー たちと仕事観を語らう。

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いつだって、今日の私が私史上最高に素敵―重松和佳子

【第2話】信頼を得る第一歩は、約束を取り付け、守ること
2018年08月30日


重松和佳子

外資系金融機関
営業

重松 和佳子

-Profile-


1980年群馬県藤岡市生まれ
1999年3月 慶應義塾女子高等学校卒業
2003年3月 慶應義塾大学卒業(文学部人間関係学科教育学専攻 )
2003年4月 P&Gジャパン入社
2009年1月 外資系金融機関に転職。
1年目より同社の成績優秀者表彰に入賞、2年目には同社の女性営業職のトップになる。 世界基準で競う業界成績優秀者表彰に入社初年度から9年連続入賞。 2016年に約半年の産休を経て、「活動量を減らしても業績は落ちない」を実践中。 現在は、事業承継、相続、信託についての勉強会や、「営業はセンスではなく科学」をモットーに、営業職についての企業研修なども開催中。 また、「営業職の面白さ、やりがい、その実践的ノウハウを若い人に伝えたい」と大学での講義も積極的に行っている。

 

-Interviewer-

オフィスブリエ
代表

木村 元子

HP:https://木村元子コーチ.com/

気持ちの良い選択が私を豊かにしてくれる

日本に5人しかいないアンソニー・ロビンズが認めたシニアリーダー。2013年にはアメリカでストレングスファインダーコーチのトレーニングを終えGallup認定ストレングスファインダーコーチとして個人、組織の強みを活かした人材育成に邁進中。 1年半前より重松のコーチでもある。

#1 コンプレックスの塊だった幼少期~20代
#2 信頼を得る第一歩は、約束を取り付け、守ること
#3 幸せの形は十人十色、その違いを尊重したい
#番外編 秘書から見た重松和佳子

 

このお仕事をしていく中で大切にしていることはありますか?

「他人は他人」というのを念頭に置いています。私が正しいと思うことが、相手にとって正しいわけではないですし、人それぞれ大事にしていることは違うと思っていますので、普通とか常識というところにはこだわらないようにしています。

それを感じたのは、娘が2歳になる頃、まだあまりおしゃべりもできないのによく歌っていた、誰しもが知っている「チューリップ」という歌です。「赤~白~黄色~どの花見てもきれいだな~」のところをずーっと歌っていたのです。

それを聞いていたら、「ホントそうだな~どれもきれいだなあ」と思ったのですよ。人間も多種多様な色があるのに、自分の美しさを自分ではわかっていないのかもしれない。自分は黄色いチューリップなのに、赤いバラであることを求めるのは勿体ないと思います。赤いバラにはない良さが黄色いチューリップにあるのに、それに気づかないなんて。それならば、その人が気づいていないその人の良さを引き出したいですし、その人の価値観の中で、より良い方向に導くことができるなら、そういったご提案をしたいですね。

素敵ですね~。同じ仕事をしている方は星の数ほどいらっしゃる中で和佳子さんを選んでくださるのはなぜだと思いますか?一瞬の成果を出せる人はいくらでもいると思います。けれどこれだけ継続して成果を上げていらっしゃる、継続して選ばれ続けている理由は何ですか?

相手を愛する心だと思います。相手を愛することにかけては自信があります。

もう少し具体的に教えてください。

今の私は、営業ができなかった昔に比べて話術がついてきたので、例えば「誰にでもいいから〇〇を売りなさい」と言われたら、たいていのものは多分売れると思います。けれど、本当にその人のことを愛していたら、ご提案するものが変ってくると思います。私が愛することによって、相手が心を開いてくれるかどうかが変わります。そうしたら、話してくれる内容がかわり、最終的にはご提案する内容が変わる。その人への思いがあると、解決策を見つけることができます。「どうして売れるのですか?」とよく聞かれるのですが、私の場合は「相手を愛する能力がある」これに尽きると思います。私はそもそも愛せない人は目の前に置きませんから、商談に至ることはないです。私が万人を愛せる慈悲の心を持っているというわけではなく、愛せる人としか相対する商談に持ちこまないです。

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まずクライアントになる段階で、自分がこの人を愛せるか、この人のために向き合えるかというところで判断して、そういう方たちとお付き合いしていきたいということですね。他に選ばれている理由はありますか?

営業マンが選んでもらえるということは、信頼してもらえるということだと思います。信頼されるためには基本は約束を守ることです。ですが、それ以前に約束を取り付けることが大事だと思っています。

例えば一度もお会いしたことがない人に、電話で約束を取り付けるのは難しいと思われるかもしれません。「今忙しいので。」と言われたら、「わかりました」で終わってしまいがちですが、そこで「では、いつおかけ直しすればいいですか?」とお聞きする。「30分後なら」と答えていただけたなら、「では30分後にもう一度おかけ直し致します」で切る。そしてキッカリ30分後にかけます。それだけで少し印象が変わるようです。「この人、本当に30分後にかけてきたな」と思ってもらえます。
これが例えば、「今週忙しいから来週にして」と言われたら、ご都合のいい時間を聞き出し「では来週水曜の午前10時にかけさせて頂きます。」と、自分からアポイントを正確にきることによって、それを守れば信頼につながります。

それが一週間後の朝10時きっかりに電話をすることで、信頼の種が生まれる。それがつながっていくことで、信頼に値する営業マンになれるのだと思います。基本は何かしらのアポイントをきること。そしてそれを守る。

飲み会の幹事もよくさせていただいたのですが、「行けたら行く」とおっしゃる方がいらっしゃいます。私はこれを絶対にしないようにしています。今行くかどうかを決める。行くと決めたら行きますし、今、行けないなら行かない。事情があって決められないときには、いつまでに返事をすれば迷惑をかけないかをお聞きして、その日までに決めて返事をするようにしています。

それが、行くと決めた後に「ごめんなさい。大事な仕事が入ったから行けない」ということもよくあるじゃないですか。それも私はしません。常に先約優先です。もしいけない可能性がある場合には、事前にその事情を説明しておきます。そういった行動が、「あの人は約束を守ってくれる」ということが信頼につながるのだと思います。

和佳子さんのクライアントさんはそうそうたるメンバーがいらっしゃるかと思います。その方々に選ばれている理由は何だと思われますか?

ご紹介で仕事をしていますので、紹介元の影響力というのが大きいのではないかと思います。人は何を言われるかより、誰から言われるかが重要なこともあります。誰の紹介でその方に会ったのかというのはとても大きいと思います。その方にとって大切な人からご紹介いただけたら、その時点で立ち位置が変ってきます。もちろん始めから、立場が上の方とお仕事させてもらえたわけではありません。一つ私の特性として、自分より年上の方が得意というのがあります。私が後輩に何か言うと、それだけでパワハラになるのではと思うところがありまして(笑)。先輩に対しては素直に甘えることができるのです。それは私の特性ですね。あとは、立場が上の方は意外にも、話が合う営業マンと会う機会が少ないということです。

和佳子さんと、立場が上の方がたとはどういった点で話が合うのですか?

一つは、私が死ぬほど働いたことですね。前職でもたくさん働きましたが、今の仕事を始めてから5年くらいは休むことなく働きました。当時、結婚したばかりだったのですが、夫には「結婚したけれど、何もできないから、死んだと思ってください。家事もできないし、あなたと一緒にご飯を食べることもできません。」と言いました。本当に夫の寝顔しか見ない時期もありました。

ある日、夫と銀座線でバッタリ会って「久しぶり」と声をかけたこともありましたよ(笑)


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それくらいがむしゃらに働いていたということに対して、少し上の世代の方には共感していただけます。今、ワークバランス、働き方改革などがあるので、今のご時世に合った働き方ではないかもしれませんが、大体皆さん、がむしゃらに働いた時期がありますからね。

その頑張った経験をひけらかさなくても、そこはくみ取っていただけますね。

もう一つは、逆さ文字です。ある方との商談で、10分だけという約束で話をさせていただいたのですが、実は私、逆さ文字が得意なのですよ。彼に見えるように逆さ文字を書いて説明しました。

その方も営業マンでしたが、「これだけ流暢に説明できるなんて、何万回話したの?」と言ってくださいました。その時に、回数は裏切らないのだなと思いました。その逆さ文字を書いているときに、「本当に頑張ってきたんだね。契約するよ」と言って頂けたことがありました。これはものすごく嬉しかったですね。

ちゃんと積み重ねた人はわかって下さるのですね。通ずるところがあるのでしょうね。

余談ですが、この逆さ文字はお客様がよく感動してくださいます。180度反対に書く練習を営業マンはした方がいいですよ(笑)

そこだけではないと思いますが(笑)和佳子さん、ご自身の強みはどこにあると思いますか?

すぐやる!
信念や責任感を貫く!
相手を愛する!
すぐ忘れるのでいつも新鮮!

すぐ忘れるって何を?

色々です。すぐに忘れます。映画見てもすぐに忘れてしまうので、2回目も初めてのように見ることができます(笑)一番の強みは「すぐやる」ですね。

本当にメールなどもすぐに返信してくださいますものね。

私の性格上、すぐにやらないと忘れてしまうのですよ。ですから受け取ったボールはすぐに投げ返します。ただ、欠点は、投げ返したボールを忘れてしまう。ですから、そこからまた返ってこなくても気づかないので、そのために秘書がいます(笑)

なるほど。とにかく行動が早いですものね。そして、とても男前だとも感じるのですが。

よく言われますが、男前とはどういうことですか?

ちゃんと決断ができる。選択する。多くの人が、あっちがいいか、こっちがいいかとすごく迷うのに、そこを素早く選択し、決断できる。その決断に責任が持てることだと思いますが、それができるのはなぜですか?

生まれた時からそうだったのかもしれません(笑)今日の私が一番いいと信じています。昨日の私より今日の私。明日の私。この30うん年間、生きてきた私の総データをひっくるめて、常に選択しているわけです。何かに迷い、選択するときに、私史上一番いい私が選択しているのだから、これがベストに違いないと信じています。

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これってできない人が多いと思うのですが、自分に自信がなくて選択ができないという方に向けてアドバイス
ありますか?

そう考えると、私も自分に自信ができたのは、そう何年も前からではないです。まずは自分に自信をつけることが大事ですよね。自分が相対する商談相手もそうですし、周りのいろんな方に対しては、常に自信をもって生きていってほしいと思っていますし、その為に自尊心を高めるお手伝いができたらいいなと思っています。

和佳子さんの自信はどこからでてきたのですか?

実は私、10代から20代前半まで、男性とのお付き合いは、すべて男性に振られて終わっています。すべて!!(笑)25歳で今の夫と交際を始め、27歳で結婚したのですが、彼と婚約した時に、「この世に私を選んでくれる人なんて、いるのか!?」と思いました。私は振られる人生を送るものだと思っていたので、そこで大きく自信がつきました(笑)。

旦那様のお力すごいですね。

これがかなり大きかったですね。「旦那様ありがとうございます」です。仕事の自信なんて仕事でしかつかないと思います。だからと言って今100%だという訳ではなく、今日の私の100%なだけで、来年の私には全く届かないはずですし、そう在りたいと思っています。

暫定ベストということですね。

そうです。常にベストを尽くし、ベストで在りたいですね。これはわたしの信条です。
常に素の私で勝負できるよう、学び続け進化し続けたいと思っています。

和佳子さんの何事も引きずらない潔さはそこからくるのですね。

はい。あっちがよかったかもと引きずるのが嫌いなのです。ですから、多少、あっちだったかな?と思ったとしても、いや、私が選んだ方が正しい!と思い込みますね。

決断というのは決めるだけではなく、決めて断つことだと思います。よく聞くのは、決めることはできるけれど、断てない。和佳子さんは決めて断つということができているのですね。
時間お金人付き合いのこだわりを教えてください。

時間はとても大切にしています。今は一瞬しかないですから、その相手の時間をいただくということは、命と引き換えにいただいていると思うと感謝しますし、自分の時間も極端な言い方になりますが、「命を削っている」と思っています。

物を選ぶときは、欲しいものを選びますが、それが殆ど同じものであれば、早い方を選びます。せっかちなのですよ(笑)

お金に関しては、やりたいことをお金が理由で我慢するのは嫌だと思っています。それくらいは稼いでいたい。一方でお金のために嫌いな人と付き合うのは絶対に嫌だと思っています。わがままですが、お金、時間、人づきあいを考えると、好きな人にお金と時間を使いたいというのが私の結論です。

好きな人と豊かになる時間を共有、素敵ですね~

はい、あとは実はコスパはめちゃくちゃ気にします。先日初めて行ったお寿司屋さんで、ちょっとビックリするお値段だったことがありました。「えっ、何人分ですか?」と思ってしまい、もう行かないだろうと思いました(笑)

例えば、私は車で移動していますが、駐車場代は気にします。同じような場所なのに、高い方には停めたくない。

一方で、新幹線に乗るときはグリーン車に乗りたいと思います。疲れが全く違うからです。体力には限りがあるので、エネルギーの温存がお金でできるなら、したい。

ちなみに先ほどのお店は、私の価値観ですが、想像の倍くらいの価格でした。自分が思う適正価格かどうかということにはシビアです。

反対に、これだけ食べさせてもらって5000円?1万円払います!なんてお店もあります。そういうお店にはまた行きたいし、クチコミもたくさんしますね。

(撮影協力 本多佳子)

 

#1 コンプレックスの塊だった幼少期~20代
#2 信頼を得る第一歩は、約束を取り付け、守ること
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