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幸せとはやりたいことや、大好きな人と両想いであること―関口 ともひろさん

【第2話】毎日楽しく機嫌よくいられることは社会貢献
2019年04月18日
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ピラティスは機械を使うということを、関口さんのスタジオに行って初めて知りました。ヨガとピラティスの違いを理解していなかった1人です。全国各地から関口さんの指導を求めて、ピラティスを習いたい人が集まってくる。そして指導を受けた人は皆ご機嫌になる。その人気の秘訣は何なのか、第2回お楽しみください。

関口ともひろ

株式会社トータル・ライフ・プロモーターズ
代表取締役

高関口ともひろ

HP:http://www.mohipilates.com/

港区南麻布にて完全紹介制Mohi Pilatesスタジオ主宰

 

神奈川生まれ O型 おひつじ座。1999年-2005年までフランス資本の企業にてサーカスパフォーマーとして活動し世界中を旅しながら働く。 2006年-パフォーマンス中の怪我によりリハビリから始めたピラティスで完治に至り指導者の道へ。 現在は自身のリーダーシップ理論を元に全国でピラティスの指導者を育てる育成事業を展開筋肉が人生を豊かにするテーマを掲げ自由なライフスタイルと志を共にする仲間が豊かな人生を作ることを全国で広めている。

 
6年経った30歳くらいでサーカスを辞められたのですか?

実はサーカスで怪我をしていて、サーカスを辞めてすぐにその怪我が悪化したのです。空中ブランコの演目中、誤ってネットに落ちて背中を怪我しました。

落下して必死でネットを掴んだら、右肩は亜脱臼し、背骨のケガと合わせて2ヶ月ほどショーで飛ぶのを休みました。それが理由で辞めたわけではないのですが、その傷がなかなか治らなくて、治療を探しているうちにピラティスに出会ったのです。

整体でも治らず、自分で治す方法はないものかと思い、ヨガも体験しましたがなかなか自分に合うものを見つけることができませんでした。そんな時、通っていたジムでピラティスというものを知りました。ピラティスはリハビリから始まったものだと知り、痛みが治るかどうかはわかりませんでしたが、ちょっと続けてみようと思ったのです。その頃、東京でピラティスを広げようというベンチャーを立ち上げた会社が男性社員を募集していたので、そこに運よく採用していただきました。



ピラティスの運営会社に入られたのですね。

はい、当時ピラティスは女性の先生ばかりで、男性を募集しており、経験、資格無しで採用していただきました。そこでピラティスのことは全て勉強させてもらい、指導スキルにとどまらず、マネジメントやマーケティング、ブランディングを全て学ばせて貰えました。この経験は今でも本当に感謝しています。ここに5年程いて、独立しました。



なるほど。自分で始められた時、ビジョンなどお持ちでしたか?

「自分のスタジオは持たない」「人を入れずに1人でやりたい」「できればどこかの企業と一緒にやりたい」です。色々な会社でピラティスを教えることで、人々を健康にしたいと思っていました。

個人ではなく企業を紹介してもらい、出張で健康指導する方法を模索していました。



なぜそう思われたのですか?

まずは元手が無かったのです。一番お金がかからない方法でした。僕の身体があれば、売り込んでできるのではないかと考えたのです。



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そのお気持ちはだんだん変わってこられたのですか?

だんだんというよりも、企業に売り込みに行くと、代表が「まずは私がやってみたい」と言われ、その時点でその方がお客様になります。そういう方が増えてくると、企業でやろうと思わずに、個人でやった方がいいのではないかと思い始めました。それから、売り込みに行く先を企業から個人へと変えることにしました。企業のトップから変われば、いつかは企業に入れると思ったのです。



個人を対象に始めたらそちらがヒットしたということですね。

そうですね。

口コミだけでたくさんの方が来てくださいました。そして、不動産関連のクライアントさんの一人がスタジオスペースを貸してくださり、スタジオを開きました。

効果を第一に考えた時に、機械を入れてやりたかったのです。ヨガとの違いをよく聞かれるのですが、本来ピラティスは専門の機械を使うものですから、ヨガと比較されなくなります。



今は立派なスタジオを持たれていますし、最初の思いとは正反対ですが、何か転機があったのですか?

転機は、僕から直接、そのピラティス専門の機械の技術を学びたい という人たちが現れたことです。先生たちの教育を始めたら、実はこちらの方が僕には向いていたのです。例えばピラティスを本当に習いたい人というのは、社長さんよりも先生になりたい人たちです。だとしたら習いたいと意欲のある人たちに教えたいと思ったのです。



それはいつ頃の話ですか?

3年程前です。



では、それ以降は先生に教えることがメインをなったのですか?

はい、現在ではクライアントの9割がインストラクターになります。教育事業とも言えるほどに、OLや主婦の方に「先生になりましょう」というビジョンをお伝えして、教える人たちが増え、教え子がまた新しいお客様を連れてくる。さらにその人たちが先生になりたいと、僕のところに戻って来てくれます。このご縁のループが僕自身の仕事にいつも新しい情熱をもたらしてくれます。そこから「人に魅力を分けてあげることのできる先生を育てることにしよう」と決めました。



こちらのスタジオを構えるようになったのはなぜですか?

その頃ちょうど、借りていたスペースが立ち退きになってしまい思い悩んでいたら、タイミング良く縁を頂いた社長さんが別の物件を用意してくれていました。

「ここピラティスにはいいんじゃないかと思って押さえておいたから」と。ですから家賃も見ずに契約してしまったのです。契約後、家賃の高さにはやはり恐怖を感じましたが、場所を広くしたら、何と先生になりたいという人が増えたのです。それで、一気に加速したように思います。



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関口さんが教えた先生は何人くらいいらっしゃるのですか?

現在東京で77人です。大阪でも開催しており全国で集めると120人くらいです。会場は東京と大阪だけですが、有り難いことに北海道から沖縄までわざわざ来てくれます。



それはどこからそういう情報を得て来られるのですか?

インスタグラムやFacebook、一番は口コミです。



本当ですか!それはすごいですね。

特別な宣伝はしていないですね。告知は公開しているので、たどりつけない訳ではありません。見ようと思って見ていればわかるので、そういうところから来てくれています。



そういうのを見て、見ず知らずの方が「教えてください」と来られるのですね。すごいですね。

そこから来られた方に、「うちはこういうやり方でやっていて、こうなることがゴールですよ」と説明してから決めてもらいます。



もうピラティス界の神ですね。

(笑)大げさではなく、そんな気もしてきました。東北や九州などの遠方からも来てくれますから。よく来てくれるなあと思います。でもやはり通って来てもらわないと、伝わらない部分がありますので、、、



そうですよね。遠方からどのような頻度で通われるのですか?

上達のプロセスにより月に一度来られる先生もいれば数ヶ月に一度の先生もおり様々です。

上達プロセスを一通り説明しますと、演劇と一緒で、まず台本を渡されたらセリフを覚えてきます。セリフも覚えていないのに、リハーサルはできないですよね?リハーサルというのは誰かをピラティスの機械に乗せて教えてみることです。ここではまだ僕という演出家は要りません。本番前の最終リハーサルで僕のセッションの隣でやってもらいます。そうすると違いがよくわかり、こういうところを直した方がいいというアドバイスができるのです。

常に演出家に修正されながらいいものができるようになります。最初から演出家が入ってクオリティを高める方法を教えても、なかなか身につかないので、リハーサルまでは自分でやってきてもらえれば、全国から演出を受けるためだけに来るのですから、そんなに頻繁に来なければいけないわけではありません。

 また地方にいる先生達は優先的に、僕の個人セッションを予約できるので、そういった意味で頻度よく通われる先生は有難い事に多いかもしれませんね。



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関口さんが先生を育てる社会的意義は何ですか?

僕が教える意義は毎日楽しく、機嫌よくいられる先生を育てることです。

単に、人気の先生を輩出することがゴールではなく、これを学ぶ過程で、様々な視点を持つことができるようになります。最終的には、先生になってもならなくてどちらでもいいのです。その視点を持てるようにならないと、クライアントや自分が関わる生活のコミュニティで暮らすことが辛くなったりします。人には役割がたくさんありますよね。母であったり、会社員であったりと時間単位で役割が変わる中で、どんな場面においても明るく柔軟に対応できる人は、僕が指導させてもらっているココロとカラダを同時に健康にするピラティスの教育で作ることができると思っています。

単に背中が痛いと言っても、それは産後の問題だという人もいれば、元々背骨に問題があったのだという人もいる、食べ物が悪い、住んでいる方角が悪いのだという人もいるでしょう。

そのいろいろな視点を一つでも多く知っている方がいい。方角のことしか知らなければ、転々と引っ越さなければいけません。食べ物だと思って、ストイックに食べ物にこだわりすぎて余計に悪くすることもあります。ですから、できるだけ選択肢を増やして、こういうことが考えられるかもしれないという仮説と実践を繰り返し、そこで振り返ってまた次の仮説を立ててみる。そうやって身体や心の状態を良くしていくことができるのです。



なるほどよくわかります。

いろいろな方向に物事が見られるようになるだけでも、ここに来る価値があると思っています。

生活の中で起こりうるハプニングも同じように仮説を立てて実践する、そして振り返り、新しい実践につなげていくということをピラティスを通して学習すると、子育てや日常生活にも活かされてしまうのです。毎日楽しく機嫌よくいられることは立派な社会貢献なのです。

親として、社員として、地域の集まりでも、パートナーシップを通しても、自分の機嫌を自分でとれる人はそれだけで社会貢献をしています。

周りに機嫌の悪い人がいたとしても、自分は良い状態を作れるというのはこれからの時代何よりも財産になると思います。その技術を学習しに来る価値はピラティス以上にあるのではと思います。ですから僕のところに学びに来た人は、みんな機嫌とスタイルが同時によくなりますよ(笑)



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それはとても大切なことですね。私の子育てのテーマも「自分が機嫌よくいる」です。機嫌の悪いお母さんは嫌だなあ、、、と。

そうです。機嫌の悪いお母さんを見て、子どもも機嫌が悪くなりますから。そうすると機嫌の悪い連鎖がずっと続きます。これはどこかで断ち切らなければいけません。子育てに限らず社会生活を持続させていく以上、自分が機嫌のいい状態を作れるという財産は時間とお金を払ってでも得たい技術なのではないでしょうか。機嫌が良いと自分は楽しいので、関わる人も機嫌が良くなる可能性が上がります。



そう考えるに至ったきっかけは何だったのですか?

開業する前に働いていたピラティスの運営会社でも指導者育成をやっていました。その養成コースでみんなものすごく落ち込むのです。とにかく悩む人が多いというのが個人的な感想でした。「自分のレベルだとクライアントの身体を見る資格はないのでは?」「今の知識やカラダではお客様は見れないと思う」いつかは先生になりたいと希望を胸に申し込んでくれた人達がそんな風に考えてしまう理由が知りたかったんです。

習う方は高いお金を払っているのに、それなのに皆もれなく悩む、、、

これは教える方も教わる方も辛くなります。お金を頂き、機嫌が悪くなる状態を作っている事に疑問を感じたのです。



なるほど、それは嫌になりますね。

そのヒントがアメリカにありました。ピラティスを学びに渡米する度に、皆ものすごく楽しそうに教えているのです。ピラティスの世界観が本当はこういう感じだとしたら。「これは教える側が工夫を増やすチャンスかも?」と考えるようになりました。生徒が同じ悩みを何年も何期にもわたって質問してくるということは、これは教えている側の問題なのかもしれないと仮説を立ててみたのです。

アメリカから翻訳される運営会社の養成講座自体は変えられないので、悩みがもっとも多かった事を全てクリアにする養成コースを自分で小さく始めたら、口コミだけで全国に広がったのです。



それはみんながご機嫌だから人が集まってくるということですよね。

インスタやFacebookで映る先生達の写真や文章で申し込みが来るところを見ると確かにそうですね。



ここで学ぶと、アメリカの資格がもらえるのですか?

いいえ、僕の会社が資格を発行しています。

お客様の集め方と、指導法、後は料金設定を決めて、その後のコンサルタントも無期限で行います。ですから目的に合わせて資格が欲しいという方には、そういう資格を出してくれるところもいろいろお勧めしています。



ありがとうございました。

(撮影協力 本多佳子)